NDフィルターの使い方について

MavicAir2用のNDフィルターセット。
画像出典:DJIストア

撮影意図や被写体にもよりますが動画撮影を行う際、30FPSであればシャッター速度はおおよそ1/30~1/60と言われています。

そのため動画撮影においては露出を決定する際にシャッター速度に大きく制限がかかります。
特にPhantomやMavic等の一般的な空撮用ドローンは絞り込むにも限界があります。さらにMavic2ZOOMやAir2等は絞りが固定であるため、そもそも絞りで露出をコントロールすることが不可能です。

そこで使用するのがNDフィルターです。
NDとはNeutral Density(=中立な濃度)の事で、色合いを変えずにカメラに入る光の量を変えるためのフィルターです。※厳密に言えば、色合いにも影響がでているかと思います。

以下の表を見てください。

左側は「晴れの日の野外」でのおおよその露出値になります。①~⑩まで全て同じ明るさです。
30FPSの動画を撮影する場合、最適なシャッター速度を1/30~1/60とすると、この中では⑧か⑨になります。
ここでMavic2Airを使用するとします。するとこの機体はF値が2.8の固定となりますので必然的に選択できる露出値は③のみとなります。つまりシャッター速度は1/2000しか使用できないことになります。⑧や⑨の設定では撮影できません。(F2.8のままシャッターを遅くすると、当然のことながら映像は明るすぎてしまいます)

そこでND64(光の量を1/64にするNDフィルター)を使用します。
すると上表の右にあるように、露出値が6段分暗くなります。サングラスのイメージです。
そして6段暗くなった分をどこかで調整する必要が出てきます。
整理すると現在の状態は

SS1/2000 F2.8 ISO100 6段分暗い

となります。
このままでは暗い画になってしまうので、ここから暗い分、光の量を取り戻します。
現在1/2000のシャッター速度を遅くして取り込む光の量を多くします。
6段分遅くすると1/30になります。
これで

SS1/30 F2.8 ISO100 適正露出

で撮影することができます。 
シャッター速度も露出も適正です。

明るすぎてシャッター速度がどうしても早くなってしまう場合には、NDフィルターに挑戦してみてください。
(Phantom4Proでも最大絞りはF11なので、上の表だとシャッター速度は1/125までしか遅くできません)

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Phantom4のバッテリー膨張を確認する方法

沼津 ドローン ドローンスクール JUIDA ドローン資格
膨張したバッテリーは劣化がすすんでいるため使用しない方が良いが、
外殻に包まれたインテリジェントバッテリーは表面を見ても膨張を確認しづらい。

当校でPhantom4Pro用として使用していたバッテリーが、写真でもわかりやすく膨張していました。もちろんこれはもう使いません。
以下の写真2枚をみてください。

あまり膨らんでいない状態

この写真は、あまり膨張が進んでいないバッテリーです。
側面からみると、セル間の隙間から奥の景色や光が見えています。つまり「しっかりと隙間がある」状態です。

膨張が進んだ状態

こちらは側面を見てみると、どんな角度から覗いても奥の景色が覗ける隙間は殆どありません。膨張し、セル間の隙間が無くなってしまっています。

バッテリーの膨張は劣化のサインであり、使用リスクが高まります。
膨張してしまう理由は過充電等があげられますが、バッテリーの保管方法についてはこちらの記事にてご紹介しています。

Phantomを使い始めた初心者の方は特に、比較対象が無いとバッテリーの表面をみるだけでは膨らんでいるか否かが分かりにくい場合があると思います。
そのためバッテリー側面の隙間をチェックし、十分に隙間が空いていることが、一つの目安になるかと思います。

Phantomを使い始めた方、もし側面の隙間をチェックしたことがなければ、一度みてみてください。

静岡沼津ドローンスクールでは、法律の他にこういった機材の安全な使い方も講習します。
無料説明会では皆様の疑問にもできる限りお答え致しますので、ドローンの利活用やスクールにご興味のある方は是非ご参加ください。

動画撮影のコツその3 ~マニュアル露出を使おう~

上画像は当校の写真教室(カリキュラム3・動画撮影)で使用しているスライドの1ページです。

動画撮影のコツ、3回目はマニュアル露出についてです。
DJI機等に通常搭載されているカメラの多くは自動で映像の明るさ(露出)を決定してくれる機能があります。
「AUTO」や「A(絞り優先)」「S(シャッター優先)」がそれにあたりますが、動画撮影では基本的に「M(マニュアル)」の設定をお勧めします。

マニュアル露出では撮影者自身で明るさの設定を指定します。
そのため撮影中にカメラが勝手に明るさを調整し、映像の明るさが途中で変わってしまうことを防ぐことができます。
※露出を固定する方法は他にもAEロックを使用する方法があります。

なお露出の設定は「シャッター速度」「絞り値」「ISO感度」の数値を指定します。
仮に同じ露出だとしても、これらの数値の違いによって撮影される映像に違いが生じます。
これについて詳しくは当校の写真講座で講義を行っております。

露出を適切に決定するにはヒストグラムを使用する他、カメラのTTL露出計を参考にする方法もあります。この場合はカメラの露出をとるクセのようなものを若干知っておく必要がありますが、(明るい場所と暗い場所のどちらを優先するのか等)数字を見て簡単に決定できるというメリットもあります。TTL露出計は上画像の一番下のM.Mとなっているところ(画像では0.0になっている)に表示されます。この数値がプラスに振れていると明るい、マイナスだと暗いということになります。(あくまでもカメラが算出した”明るい、暗い”ですが)
ちなみにこのM・Mの表示箇所は、マニュアルモード以外では露出補正が表示されています。

今までオートでしか撮影したことが無かった方は、是非次回の撮影ではマニュアル露出に挑戦してみてください。

静岡沼津ドローンスクールのウェブサイトでは、他にもドローンに関するトピックが沢山ありますので、ぜひご覧ください。