普段私達の見ている景色は、可視光と呼ばれる人間の目が捉えられる波長の光から成り立っています。
一般的なカメラもまた、私達の視覚に合わせて同じぐらいの波長の光をもとに、画像を生成しています。
よく、動物や虫が見ている景色は私達と違うなんて話を聞きますが、これは目で感知できる波長が、種ごとに違うことが理由の一つです。
今回行ったのは、人間が知覚できる可視光よりも波長の長い、「赤外線」をカメラで捉えてみようという撮影方法です。
カメラは通常、人間の目と同じ波長の光のみをセンサーで感知するよう、赤外線をカットするフィルターが使われています。しかしどうやら、ごくわずかですが赤外線を透過しているらしく、それをうまく拾って画像化する手法があります。
赤外線撮影用の特殊なカメラではなく一般的な一眼レフ(EOS 6D Mark2)を使用するため、まずIRフィルターを用意しました。
今回用意したフィルターは、Kenko PRO1D R72 です。
これで、可視光のほとんどをカットします。
そのため、フィルターを透過するのはほぼ赤外線のみとなります。
実際の手順については詳しく解説されている方が沢山いらっしゃるのですが、ここではKenkoの赤外線写真の特集ページをご紹介します。
なお今回6DMark2で撮影した場合、出てくる画像が赤すぎてホワイトバランスの調整がしきれないため、上のページで紹介されているInfrared Profile Packでプロファイルを追加しました。
これを使用することで、ホワイトバランスを調整できる限度が広がります。
LightroomとPhotoshopを併用して作成しました。
Lightroomでホワイトバランスを修正
↓
Photoshopでカラースワップ
↓
Lightroomで後調整
この流れなのですが、Photoshopでカラースワップ後のデータを書き出す際は、TIFFよりもPSDの方が、最後のLightroomでの調整時に劣化が少ない気がします。
実際に撮影してみて感じたことは、赤外線の反射率が高いモノと低いモノの両方を一緒に写さないと、カラー現像の面白さを発揮しにくいです。
また後調整で色を無理やり出そうとすると、当たり前ですがデータが破綻します。これについては上に書いたように、TIFFよりもPSDファイルの方が粘り強い感じがします。
IRフィルターをつけたままだとファインダーを覗いたり、ライブビューにしても真っ暗なので、一枚ずつフィルターを外して構図を決めてピント合わせをします。
フリップアップ式のフィルターがあれば、そちらの方が良いかもしれません。
また、保護フィルターの上から二枚重ねでフィルターをつけると、24mmあたりだと四隅がケラれました。
スノー効果(赤外線の反射率の高い植物の緑が、雪を被ったように白く写る)や独特の色合いなどから生ずる非日常感が、出来上がりを見て楽しい手法です。
なお使用するフィルターやボディによっても出来上がりが変わる様です。