目に見えない”電波”を知ろう。

電波を発射する機器はハザード(危険源)となり得る。

私達はドローンを操作するとき、目に見えない”電波”という波長を用いています。電波は電磁波の中のある決められた範囲の周波数をもつものの事で、”電場”と”磁場”からなる「波」です。
この「波」に必要な情報を載せて、プロポから機体に操作の情報を送り、逆に機体からは映像等がプロポ側へ送られてきます。GPSからの信号も電波で受け取っています。

この電波というものを意識していないと、知らない間に危険な状況に陥ってしまう場合があります。
例としては

・携帯電話の基地局の発射する電波の影響で機体がコントロール不能になる。
・イベント会場でトイドローンを使用する予定であったが、人が多くてスマートフォン等の電波が混雑し、結果としてドローンに影響して飛行不能になる。
・同時に多数のドローンを起動したため、機体とプロポの通信が不安定になる。

等があげられます。
他にもプロポから発射された電波の直接波と反射波の位相ズレから起こるマルチパスや、反射、屈折といった波の性質等、ドローンを飛ばすうえで知っておくべき電波に関する知識は沢山あります。また「電波法」という法律も深くかかわってきます。

そして実際に飛行を行う場合は、電波の状態が悪い、あるいは悪くなる兆候を見逃してはいけません。具体的な例としては

・モニターのコマ落ちやフリーズ
・モニターにグリーンのノイズ
・モニターが真っ黒になる

上記のように、兆候はまず映像伝送系に見えることが多いです。これは操作系よりも映像伝送系の方が通信する情報量が多いためです。そのため、映像系に支障が見え始めたら、障害が操作系に及ぶ前に安全な状況へ戻すことが必要になってきます。
例えば障害の原因が基地局であるとわかったならば、発射されている電波がプロポと機体の通信に影響を及ぼす範囲外に機体を移動させる必要があります。

DJIGO4でも簡易的にではあるが電波状況の確認が可能。また状況によって適切な設定を行おう。

筆者が実際にあった例を1つ挙げると、指定された飛行空域が市街地であり、撮影前の段階で、すでに付近に携帯基地局があることをグーグルマップで確認しました。※グーグルマップが必ずしも「今現在」の状況を写しているとは限りません。
飛行は自動航行で行う予定であったため、最終的な飛行の前に同じ飛行航路を手動で飛ばし、電波状況が問題ないかを確かめました。使用チャンネルは固定し、またモニターの画像伝送も極力、小さなデータで済むように設定を行いました。

ドローン運用の際には「目に見えない電波という波が空中を飛び交っている」という認識を持つことも、安全運航では大切となります。当校の実技実習の際も、周囲に電波干渉・混信の可能性がある発射機がないかを確認する作業を行っていただいております。

当校ウェブサイトでもドローンに関するトピックがいくつもありますので、ぜひご覧ください。

フィルム調・絵画調の写真でドラマチックに演出しよう!

ポジフィルムであるベルビア100の設定を当てた状態。撮影機はPhantom4Pro。

今回はAlianSkin社の写真編集ソフト2つを紹介したいと思います。
この2つのソフトはさまざまなプリセットを使用することで、撮影後の写真にさまざまな効果を付け加えることができます。

一つ目は「Exposure7」です。
数多い(?)フィルムシミュレート系ソフトの1つで、当記事トップの写真のように実在する(或いは過去に実在した)フィルム調に写真を変換することができます。上写真はRAWデータにベルビア100のプリセットを通しました。わざわざドローンにフィルムカメラを搭載しなくても、フィルム調の空撮写真を得ることができます。
下写真がLightroomでのRAW撮って出しです。

Lightroomでの撮って出し。

また嬉しいのが、カロタイプやダゲレオタイプ等の古典印画法もプリセットの中にいくつか含まれているいうことです。これは筆者個人的にはかなりワクワクしました。モノクロとセピア等の色違いや、経年劣化、処理方法による仕上がりの差も、違うプリセットとして登録されていて、見比べているだけでも楽しいです。

コロジオン湿板法。周辺の収差度合いは調整できます。
Exposure7のウィンドウ。AGFAフィルムのクロス現像を選択中。

上画像がExposure7のウィンドウになります。左にプリセット、右側に露出等の調整タブがあります。ウィンドウ中央下の「元画像」を押すと、押している間だけ元画像に切り替わります。また分割表示等にすることも可能です。
プリセットの適応から細かな調整まで、同じウィンドウでできるのは便利ですね。

二つめのソフトは「SnapArt4」です。
こちらは写真を絵画風に変換するソフトウェアであり、上述したExposure7のプリセット違いという考え方で良いと思います。
写真を絵画風にする方法としては、Photoshopの混合ブラシツールで編集していく方法等がありますが、SnapArt4はプリセットなので、時間をかけず手軽に画像を生成することができ、また種類も豊富です。

Mavic2Zoomで撮影後にトリミング。Lightroomで現像。

上写真が元写真です。これにSnapArt4を使用します。

「クレヨン」のプリセット設定。

もとが写真だったとは、なかなか判らないのではないでしょうか。

こちらは「インパスト」の設定。

これらの他にも「水彩」や「油絵」等多くのプリセットがあります。
ウィンドウはほぼExposure7と変わりません。
筆者はLightroomのユーザープリセットでフィルム調の設定はいくつか作っていますが、ワンタッチで絵画風にする方法は持っていなかった(というよりほとんど使うことが無かった)ので、丁度良い機会ということで、SnapArt4の購入を考えています。

両ソフトとも、PhotoshopやLightroomのプラグインとして使用できるので、従来からこれらのソフトを使用してきたユーザーはシームレスに作業を行う事ができそうです。
※当記事もLightroomのプラグインとして使用した上で作成しました。スタンドアローンでも使用できるそうですが、そちらの使い方は試していません。

「Exposure7」は15日間、「SnapArt4」は30日間、試用期間がありますので、ご興味のある方は下のリンクからお試しください。
KOMOJU Shop Alien Skinページ

当校では、空撮用ドローンを用いて実技講習を行います。野外実習では実際の撮影練習も行います。当校ウェブサイトはコチラから!


飛行の際はGPSの受信基数に注意しよう。

GPSとはGlobal Positioning Systemの略称で、米国の運用する全地球航法衛星システム(GNSS)となります。同じようなシステムはロシアのGRONASSやEUのガリレオ等があげられます。日本ではGPSを補完する目的で、みちびきというシステムが2018年から現在4基体制で稼働しています。

衛星から送られた原子時計の時間と、受信機の時計の差から、電波が飛んだ時間が分かります。電波の速度は光の速さと同じ約30万Km/sなので、「速さ×時間」で、衛星と受信機までの道のり(距離)が分かります。この作業を複数基の衛星と行う事により、受信機の正確な位置情報を得るという作業が、GNSSの原理の大まかな考え方になります。

一般的にGNSSから正確な情報を得るには、4基以上からの電波を受信しなければならないと言われております。しかしDJI製のドローンに関しては、その多くが7基以上からの受信を必要とします。そのため受信基数が6基以下になると飛行中でも自動的にAモードへと移行します。
「機体が勝手に動いた」「急に機体が流れ出した」という話を時々聞きますが、何らかの影響によりGNSSの受信基数が減り、操縦者の知らない間にPモードからAモードへ切り替わっていたという可能性もあります。

DJIGO4の画面上部には、常に受信基数が表示されている(黄色の〇部分)

当校の実技実習や試験は、一部を除き基本的にAモードで行います。
これは上述したような、不意にPモードが使えない状況に陥っても、その状況を理解し、安全に飛行を行えるようにするためという意味合いも含まれています。また座学ではGNSSをはじめ機体に搭載されている機器への理解を深め、どういった状況が危険となり得るのかを判断できるようになってもらいます。

ドローンにはいろいろな技術が詰め込まれており、そのおかげで誰でも簡単に飛行を行う事が出来ます。しかしその一方で、どのような技術が使用されているかを理解した上で使用しないと、知らない間に危険な状況へ踏み込んでしまったり、緊急時には適切な判断ができません。

静岡沼津ドローンスクールは、無人航空機を安全に運用するための基礎となる知識と技術を身に付けていただくためのスクールです。
ご興味を持たれた方は、ぜひ当校ウェブサイトもご覧ください。