タイトルにもあるキャリブレーションですが、
キャリブレーション→機体をあるべき正しい状態に調整すること
と思っていただければと思います。
例えば、ドローンは各種センサー類から得られる情報をMCが計算しESCへ指令を送る事により、ローター各々の回転数を調整し高精度な飛行を可能としています。
そのためセンサーからMC(ドローンの頭脳のようなもの)に送られてくる情報が間違っていると、いくら素早く計算を行ったところで正しい飛行は行えません。特に自動航行を行う場合は、コンパスの方位情報とGPSの位置情報の差異により誤った航路を飛んでしまう等、危険性が高いです。
ドローンを運用する場合は、機体に搭載されている各々の部位、センサー類はもちろんバッテリやモーター等のあらゆる部分が、常に正常に動いている事が安全という観点からも非常に大切になります。
この記事では、DJI製機体にあるキャリブレーションの種類と、その原理(意味合い)、またどういった場合に行うべきか紹介します。
なお、実際のやり方については、モニターに方法が表示されますがDJIサポートのYoutubeチャンネル等でも確認できます。
1.コンパスキャリブレーション
機体にあるコンパスが正しく磁北を補足できるようにするための作業です。
この作業は、その日の一番最初の飛行の前、或いは前回の飛行から飛行場所が2km以上離れた場合に行うと良いとされています。
作業を行う場合は周囲から磁気干渉を受けにくい場所で行ってください。鉄骨やマンホールの近く、腕時計等も干渉する場合があります。
尚、コンパスが正常に作動していないと機体が判断した場合は、機体の高度制限が8mに制限されます。
2.IMUキャリブレーション
機体のジャイロと加速度計が正しく働くようにするための作業です。
この作業は、画面上にIMUエラーが表示された場合や、機体の安定性が悪い時等に行うと良いとされています。
作業を行う際は、水平が取れた磁気干渉の無い場所で行ってください。
3.ジンバルキャリブレーション
機体のジンバルが正しく水平を取れるようにするための作業です。
この作業はカメラからの映像に傾きが感じられるときに行うと良いとされています。
作業を行う際は、水平が取れた磁気干渉の無い場所で行ってください。
4.スティックキャリブレーション
プロポのスティックのニュートラル状態を正しくするための作業です。
この作業は、スティックを離した状態でホバリングしない(その場で止まらない)状態になった時に行うと良いとされています。
作業を行う際は、機体側の電源をオフにする必要があります。
5.ビジョンキャリブレーション
ビジョンセンサーが正しく働くようにするための作業です。
この作業は、画面上にビジョンセンサーエラーが表示された場合等に行うと良いとされています。
作業を行う際は、専用のPCソフト『DJI Assistant2』(無料、DJIダウンロードセンターからダウンロード可能)を使用します。ソフトは機種ごとによって違いますのでご注意ください。
尚、このDJI Assistant2を使用したビジョンキャリブレーションですがPCとの相性があるようで、PCによって上手く作業ができない場合があります。(キャリブレーションを開始するボタンが灰色で押せなくなる)
また同ハードで同スペックのPCでもできる、できないがあったと聞いた事もあります。
ビジョンセンサーのエラーは、不時着など機体に強い衝撃、振動がかかった場合に表示される事が多いです。
6.バッテリーキャリブレーション
バッテリーのセルバランスを調整するための作業です。
この作業は、20回の飛行に1回程度のスパンで行うと良いとされています。
作業方法は、バッテリ残量を5%以下まで減らした後、一気に満充電まで充電します。
尚、バッテリ残量を0%にしてしまうと再起不能になる可能性があるので注意してください。
以上がDJI機で行う事ができるキャリブレーションになります。
各々の作業が機体のどの部分、どの働きに関係し、いつ行えば良いのかをしっかりと把握しておく必要があります。
機体の異常にいち早く気付き、それに正しく対応する知識も安全運航にとって大切な要素です。
機体異常のわかりやすい例として、上の画像はコンパスエラーの状態です。たとえ正しくキャリブレートされていても、機体を置いた場所によっては、近くの鉄骨等でこのような状態になってしまう場合があります。そのためコンパスエラーが表示された場合は、一度機体の位置を動かしてみると解消する事があります。
また磁気干渉を受けている場合はコンパスキャリブレーションもエラーになる場合があるので、コンパスキャリブレーションがうまく行かない場合は、数メートルでも良いので場所を変える事でうまく行く時があります。
ステータスバーをタップすると現在の機体ステータスが一覧表示になります。
上画像ではコンパスに「異常」と表示されている他、無線チャネル品質が「悪い」となっているのも確認できます。
飛行前後のみではなく、飛行中も機体の挙動やモニター表示を上手く利用して、機体の異常を察知した場合は速やかに、そして安全に着陸させましょう。
例えばコンパスがうまく調整されていないと機体がまっすぐ飛ばなかったりします。またジンバルに不具合があると伝送されてくる映像に傾きやブレが生じます。
機体の挙動に異常を感じられるか否かは知識も必要となりますが、どれだけ日頃から機体を飛ばしているかにも左右されます。「いつもと違う」と直感的に気付き事故を未然に防ぐ、或いは被害を最小限に食い止めるには、日頃から飛行を行い機体の正常な状態を感覚的に覚え続けている事が重要です。
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